多くの人は「ヘッジファンド」と聞くと、遥か遠い専門家の世界を想像します。
グローバル資産を操作したり、金利政策に賭けたり、ボラティリティを利用して裁定取引を行ったり...。
そんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
しかし、Zentara Exchangeのチーフ・インベストメント・オフィサーである水野修矢氏はこう指摘しています。
「あまり難しく考える必要はありません。ヘッジファンドの核心は要するに『種類』ではなく『リスク』を単位として資産配分を行うことです」
一、一般的な投資ポートフォリオの落とし穴
多くの投資家は資金を以下のように分ける傾向があります。
一部は株式、一部は債券、一部は現金、暗号資産も少し...。
このような投資ポートフォリオは、一見分散されているように見えますが、水野氏はこう指摘しています。
「5種類の資産を配分したつもりでも、実際には同じリスク要因に晒されている可能性があります。そうすると、市場心理が崩れた時、これらの資産は一斉に下落してしまいます」
これがいわゆる「システミック・リスクの集中」であり、表面的には多様化していても、リスク源が単一である状態のことを指しています。
二、ヘッジファンド式資産配分における3つの核心的な原則
水野氏は、ヘッジファンドの資産配分戦略を個人投資家でも簡単に理解できる3つの原則にまとめました。
①リスク・パリティ(Risk Parity)原則
各資産はポートフォリオの中で同程度のリスクを担うべきであり、時価総額の大きいものほど高い割合を占めるべきでない。
②ドローダウン管理を優先
まず「最大でどれだけ損失を許容できるか」を設定し、そこから逆算して配分を決める。
「どれだけ儲けたいか」から考えてはいけない。
③ダイナミック・リバランス・メカニズム
相場が大きく上昇・下落した際には、システムが自動的に資産比率を調整し、片方向への偏りによるリスクを回避する。
Zentaraでは、水野氏主導でAIバックテストエンジンを開発。
これにより、時価総額に応じた単純な配分ではなく「リスク貢献度」に基づいた暗号資産の配分が可能になっています。
三、実用的な「三層構造」ポートフォリオモデル
水野氏は、個人投資家でも実践可能な資産配分モデルを考案しました。
レイヤー|資産タイプ|配分比率
コア層|ビットコイン(BTC)、金連動型トークン(XAUT)などの安定資産|30%
強化層|イーサリアム(ETH)、主要DeFiプロジェクトなどの中期成長資産|50%
探索層|新規プロジェクト、IEO、パブリックチェーントークンなどのリスク資産|20%
上記のポートフォリオモデルと合わせて以下のツールを活用するとなおさら効果的です。
自動利確・損切り機能:極端な相場変動時の損失を制御
週次リバランスツール:ポートフォリオが常に設定された目標と一致することを確保
「資産配分は数学のゲームではなく、感情を管理するためのツールです」——水野修矢
たとえ個人投資家であっても、ヘッジの考え方を身につければ、市場での生存能力を大きく高め、一度のミスで強制ロスカットされ「資金がゼロになる」ような事態を避けることができます。